2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21686067
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 弘行 Osaka University, 工学研究科, 准教授 (60294021)
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Keywords | 制振材料 / 規則構造 / 磁区構造 / 磁歪 / 金属間化合物 / インテリジェント材料 / 電子顕微鏡 / 強度 |
Research Abstract |
本年度は、高強度・高減衰能を示すFe-Al-Ni系合金の内部組織を調査すると共に、その制振機構の解明に重点を置いて、調査を行った。まず、Fe-Al-Ni合金にて高強度・高減衰能が生じる場合の微細組織を観察したところ、bcc構造の不規則α相とDO_3規則相からなるナノ複相組織が形成されていた。一方、擬弾性特性の低い組成では、DO_3単相、(α+B_2)二相となっており、このことから、(α+DO_3)二相組織を形成することが、同合金の高機能発現に不可欠であることがわかった。なお、DSCによる解析より、(α+DO_3)二相組織はB2相からの相分離で形成されていることが明らかとなった。さらに、熱処理を施すことで、内部摩擦と組織との因果関係を探ったところ、高温側のB2単相領域から(α+DO_3)二相組織へゆっくりと徐冷した試料において、内部摩擦の値は最大となった。 一方、制振特性の解明を目的として、磁場/無磁場下での内部摩擦測定を行ったところ、磁場下での内部摩擦は、無磁場下のそれと比べ著しく低下していることから、Fe-Al-Ni系合金の高い制振特性は、応力負荷・除荷による磁壁の非可逆運動に由来することがわかった。また、磁壁移動型の場合、内部摩擦は磁歪の3乗に比例する。そこで、磁歪の大きさを測定したところ、その値はNi濃度の増加と共に増加した。このことから、Ni添加による磁歪の増加が、Fe-Al-Ni系合金が高減衰能を示す原因の一つであることがわかった。
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