2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21686067
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 弘行 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (60294021)
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Keywords | 制振材料 / 規則構造 / 磁区構造 / 磁歪 / 金属間化合物 / インテリジェント材料 / 電子顕微鏡 / 強度 |
Research Abstract |
我々が開発したFe-Al-Ni制振合金は、1000MPaを超える高強度を有するものの、延性に乏しいため、その改善が不可欠である。そこで、平成22年度は、加工熱処理、粉末冶金法を駆使して、同合金の延性の改善に取り組んだ。1100℃の熱間圧延により作製した試料には、パンケーキ状の結晶粒が圧延板に対して平行に発達した。この結晶粒に対して垂直に曲げ応力を負荷すると、クラックの伝播を結晶粒界が効果的に抑制することで延性の改善が認められた。しかし、熱間圧延時のわずかな欠陥の存在により、早期に破断する試料もあり、延性のデータが著しくばらついた。そこで次に、結晶粒を微細化する目的で、ガスアトマイズ法で作製した粉末を放電プラズマ焼結により固化成型した試料、熱間加工再現装置により低温で熱間圧縮した試料の2種類の試料を作製した。放電プラズマ焼結で作製した試料では、平均粒径は100μm以下の等軸組織が発達したが、粒界を伝ってクラックが容易に伝播するため、延性の改善は認められなかった。一方、熱間加工再現装置により熱間圧縮した試料では、熱間圧延の場合と同様、荷重軸に対して垂直なパンケーキ状の結晶粒組織が発達した。さらに、そのパンケーキ状結晶粒の厚さは低温、高歪速度であるほど減少した。この結晶粒厚さの減少に伴い、曲げ延性は飛躍的に改善された。また、曲げ変形時の破断応力は、熱間加工時の条件から算出されるZener-Hollomonパラメーターでおおむね整理された。以上のように、熱間加工により異方性を有する結晶粒組織を発達させることが、延性改善に有効であることがわかった。
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