2010 Fiscal Year Annual Research Report
薄板生産工程に導入可能な交流磁界・パルス磁界型アンペール力磁気浮上システムの開発
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21686070
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大路 貴久 富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 准教授 (30334709)
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Keywords | 磁気浮上 / 誘導反発 / アンペール力 / 渦電流 / 非磁性金属薄板 / 交流磁界 / パルス磁界 / 力率改善 |
Research Abstract |
非磁性金属薄板製品の生産工程に導入することを目的とした2種類のシステム((1)薄板の非接触搬送制御システム,(2)スタック薄板分離システム)について,前年度に設計・試作した実験装置にて以下の新しい成果が得られた。 (1)非接触浮上搬送制御システムについては,固定子レール(基本ユニット)に対し,安定浮上状態が得られる励磁パターンを3種類用意し,回路中に進相コンデンサを直列挿入することで力率改善による省電力運転を実施し良好な結果が得られた。さらに入力電圧と入力電流の時間推移(浮上始動から停止まで)を詳細に調べた。励磁パターンの違いやコンデンサ設定値の違いによって鉄共振現象を生じる条件が存在し,これが省電力運転に貢献することを見出した。一方,鉄共振時の急峻な電流増加・減少は,薄板の急激な挙動に反映することから改善の必要があった。そこで二値コンデンサ切替による薄板の浮上運転を実施し,スムーズな浮上始動・停止特性と省電力運転の両方を実現した。基本ユニットを複数連結し,薄板位置の検出による励磁区間切替試験を実施し,滑らかなユニット切替を確認した。またアンペール力追加時に必要な励磁位相条件を容易に見出せるように,薄板中の渦電流経路をFEM解析により可視化した。 (2)スタック薄板分離システムについては,直流磁場の急減に伴う薄板内の瞬時渦電流に対しアンペール力を発生させ,複数枚から1枚のみを引き剥がす分離試験を実施した。アンペール力の方向を1枚分だけ逆方向となるようスタック境界面で異極となる永久磁石を準備しアンペール力を含む瞬時浮上力全体を調査した。結果として厚さ1mmの薄板に対し分離に効果的なアンペール力は得られなかった。複数枚を瞬間的に引き上げる力自体は得られることから,薄板の振動による分離可能性も含めた電磁的分離技術を追究する予定である。
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