2011 Fiscal Year Annual Research Report
薄板生産工程に導入可能な交流磁界・パルス磁界型アンペール力磁気浮上システムの開発
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21686070
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大路 貴久 富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 准教授 (30334709)
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Keywords | 磁気浮上 / 誘導反発 / アンペール力 / 渦電流 / 非磁性金属薄板 / 浮上搬送 / 有限要素解析 / 磁気分離 |
Research Abstract |
非磁性金属薄板製品の生産ラインにおける非接触搬送を目的とした2種類のシステム((1)薄板の非接触浮上搬送制御,(2)スタック薄板の磁気分離技術)について,過去2年間で設計,製作した実験装置を機能的に拡張することで最終年度のまとめとなる成果が得られた。 (1)非接触浮上搬送制御については,A1方形薄板の浮上実験,搬送実験,薄板の発熱評価を行った。まず,1ユニットでの交流誘導式と交流アンペール式の浮上実験を行い,交流アンペール式においてアンペール力用電磁石からの磁束による浮上高の増加を確認した。また,初期浮上高を両方式で一致(6mm)させた際の浮上高の経時変化より,交流アンペール式のほうが浮上高の低下が抑制されることを確認した。さらに同条件で薄板の発熱分布をサーモグラフィで測定(初期温度:20度)し,交流アンペール式で温度上昇が抑制される(温度上昇度,交流誘導式:0.33度/sec,交流アンペール式:0.27度/sec)ことを確認した。薄板の連続搬送のために,2ユニットを連結し浮上搬送実験を行い,約0.6m/secまでの浮上搬送を実現した。以上より交流アンペール式における理論上の優位性を実験的に確認したことで,提案したユニット構成が生産ラインに導入してもその効果を発揮することが明示された。入力電力抑制のための励磁区間切替による連続搬送は,前年度に切替機構が完成していることから固定子レール延長時に良好な結果が期待できる状態である。 (2)スタック薄板分離については,前年までの直流磁場の急減による吸引力とともに,複数枚から1枚のみを引き剥がすための振動分離実験を実施した。具体的には薄板の固有周波数かつ表皮深さを薄板1枚分に設定した周波数で交流電磁石を励磁し,この電磁石をこれまでの機構に追加配置することで分離可能性を調査した。薄板の振動振幅(1.5kHz時)自体が小さく1枚の分離は実現出来ていないが,薄板振動と直流磁場による吸引力を組み合わせた瞬間的な剥離力の発生を今後も追究する予定である。
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