2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21686088
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
早川 恭史 日本大学, 理工学部, 准教授 (40307799)
|
Keywords | 単色X線源 / 空間コヒーレントX線 / パラメトリックX線放射 / PXR / 位相コントラスト / 非対称結晶面 / 電子リニアック / CT |
Research Abstract |
前年度に引き続き、パラメトリックX線放射(PXR)の放射源として単結晶の非対称カット面を用いた場合に得られるx線の特性を調べた。特にSi(111)結晶平板のエッジを6.5゜の楔状に加工したターゲットでは、X線エネルギー17.5keVにおいて、空間コヒーレンスの高い状態を維持したまま、2結晶型PXR発生装置で得られるX線量を少なくとも通常の対称結晶の2倍程度にすることができた。この改善により、PXRの応用としては世界で初めて回折強調型位相コントラストイメージング(DEI)法を用いたコンピュータ・トモグラフィ(CT)に成功した。大型放射光以外の線源での実施例としても稀有であり、PXRが次世代の単色X線源の有力な候補となることを強く支持する成果である。これに続き、楔形結晶の裏面対称面にAl蒸着を施したものを用いたが、マクロな物性として導体である蒸着膜の有無では、発生するPXRの違いは認められなかった。また、カット面が非対称角6.5゜となる平板結晶も同様に試験したところ、放射源から放出される強度は増大するものの、2結晶型PXR発生装置の第2結晶によるX線ビーム輸送の効率が悪くなり、また空間コヒーレンスが大きく劣化する状態も確認された。現状では、楔形ターゲットがPXR放射源として収量・性能共に最も優れたものとなっているが、最適な楔角といった形状の条件についてはさらに実験的な研究を積み重ねる必要がある。 放射源の研究に加え、PXR発生装置から得られるX線ビームを非対称角6.5゜のsi(111)分光結晶を用いて二次的に拡大・縮小することを試みた。実際にX線ビームの拡大・縮小と、それに応じた回折X線のエネルギー広がりの変化を確認した。しかしながら、最も縮小率が期待できるBragg角6.5゜周辺では回折強度が非常に小さくなり、光子密度の高い状態を作ることが困難であった。この方法で光子密度の向上を目指すためには、最適な分光結晶の厚さや形状について詳細に調べる必要がある。
|