2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体イメージングにより解析する体軸調律の細胞機能メカニズム
Project/Area Number |
21687004
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
倉永 英里奈 独立行政法人理化学研究所, 組織形成ダイナミクス研究チーム, チームリーダー (90376591)
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Keywords | カスパーゼ / 細胞死 / in vivoイメージング / ショウジョウバエ / 外生殖器 / 器官形成 |
Research Abstract |
左右非対称に器官形成を行う外生殖器の回転運動という、器官形成過程で詳細な記載の難しい制御メカニズムにどのようにして迫るのかが重要なポイントである。イメージング解析の結果、360度の正常回転の際に外生殖器を取り囲む細胞集団であるA8体節細胞において、発生の決まったタイミングで時計回りに一部の細胞集団が移動を開始し、一定のスピードで回転運動を行ったのちに、ちょうど12時間後に360度の回転を終えて停止することが明らかになった。一方、アポトーシスを抑制した場合、回転開始と停止は野生型と同様のタイミングでおこるにも関わらず、回転が不十分のまま止まってしまった。そこで、回転速度を定量的に解析すると、正常な回転は4つのステップ、すなわち開始、加速、減速、停止で進行しており、アポトーシスを抑制した場合は加速出来ずに不十分に停止することが明らかになった。 さらに詳細な解析を行った結果、外生殖器の周りを取り囲むリング状の細胞集団(A8背板)が、内側と外側の2つに分かれて、回転開始の2時間までは内側のリングだけが回転し、加速のタイミングで外側のリングが回転したことから、加速が外側のリング回転によって引き起こされると予測された。確かにアポトーシスを抑制した個体では外側のリングが回転出来ず、内側のリングだけが回転していたことから、外生殖器の回転は、A8背板が2つのリングに分かれてそれぞれが180°回転した結果、正常に完了することが明らかになった(Kuranaga et al.,2011)。つまり、A8背板の内側と外側のリングは別々に回転することが示唆された。Noselliらは、ハエ左右軸制御因子であるMyo1Dを内側だけ、あるいは外側だけでノックアウトすることで、2つのリングは互いに違う方向に回転し、結果的に-180°+180°で0°回転となることを報告した。このイメージングは我々のシステムでも再現されており、体軸形成に2つの細胞集団が協調する必要があることを示している。
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