2010 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造情報を利用した高輝度蛍光タンパク質の合理的なデザイン法の開発
Project/Area Number |
21687007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松田 知己 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (50419206)
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Keywords | 蛍光タンパク質 / 構造生物 / タンパク質工学 / 分子シミュレーション |
Research Abstract |
X線結晶構造解析による立体構造決定 前年度に行ったUV励起蛍光タンパク質変異体のX線結晶構造解析で、良好な反射データの得られなかった2変異体について、北海道大学薬学研究科の稲垣教授の研究室と共同で再度結晶化条件のスクリーニング、国内の放射光施設を利用した回折測定、構造精密化を行った。そのうちの1変異体については立体構造座標の決定にまで至った。また、反射データは得られたが構造精密化の完了していなかった3変異体についても再度結晶化と構造精密化を進めて立体構造座標を決定した。最終的に前年度に決定した2変異体と合わせて、当初の予定の7変異体中6変異体について、分解能2Å付近かそれ以下の構造比較を行うのに十分な立体構造座標を得た。変異体間での立体構造比較から、アミノ酸置換変異導入によって蛍光量子収率が増大したものほど、蛍光発色団の平面性が高いことが明らかになった。また、殆ど蛍光を発しなかった改良の初段階の変異体mSECFP-Y66Fでは5員環と6員環から形成される蛍光発色団の6員環部分が脱離しており、このことが著しい蛍光強度の低下を引き起こしていることが明らかとなった。これらの蛍光タンパク質の蛍光強度改良の鍵となる知見について、第33回日本分子生物学会年会において発表した。 分子シミュレーションによる解析 決定した変異体立体構造を用いて発色団近傍の詳細な電子状態を知るためのQM計算を行う並列計算環境を平成22年度予算により購入した量子化学計算用ワークステーションにて構築した。
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