2010 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫反応に関与する分子量1000万の巨大粒子ボルトの構造生物学的研究
Project/Area Number |
21687012
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 秀明 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (40346169)
|
Keywords | X線結晶構造解析 / 生体超分子複合体 / 核酸-タンパク質複合体 / vault / 自然免疫反応 |
Research Abstract |
1986年に米国UCLAのLH.Romeらのグループによってラット肝臓より単離されたボルト(Vault)は3種類の蛋白質と1種類のRNAによって構成されており、分子量約1000万でサイズが約40nm×67nmという今日までに報告されている中では最大のRNA-蛋白質複合体である。粒子の発見から20年以上もの間、多くの研究者らにより核-細胞質間物質輸送や多剤耐性への関与など様々な可能性が探られてきたが、2007年、ハーバード大学の研究グループにより自然免疫反応への関与が示された(M.P.Kowalski et al., Science 317,130-132(2007))。我々は2008年にVault粒子外殻の全体構造を3.5Å分解能で決定することに成功し、構造情報からvaultが脂質ラフトに結合する可能性を示した。この結果は、Kowalskiらの報告を強く支持するものであった。 本研究では、Vault外殻を構成するMVP(Major Vault Protein)のショルダードメインがどのようにして脂質ラフトを認識するのかをX線結晶構造解析により原子レベルで明らかにするためにコレステロール誘導体との複合体結晶の作成を目指している。また、MVP以外の成分も含めたvaultの全立体構造をX線結晶構造解析によって決定し、本粒子の機能解明におけるさらなるブレイクスルーとするために精製条件や結晶化条件の最適化を行っている。
|
Research Products
(4 results)