2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21687014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 浩二郎 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 特任准教授 (40360276)
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Keywords | RNA干渉 / 染色体 / ヘテロクロマチン / ノンコーディングRNA / 分裂酵母 |
Research Abstract |
本研究では、RNA干渉(RNAi)機構による小分子RNA産生が染色体上のヘテロクロマチン形成を制御する仕組みについて追究を試みる。RNAiはそもそも、細胞にとって外来性の遺伝因子を排除するために発達してきた防御機構であるが、近年になってRNAiは細胞核においてもヘテロクロマチン構造の形成と維持のような重要な機能を果たしていることが提唱されはじめている。しかしながら、RNAi機構の標的となる反復配列由来ノンコーディングRNAがいかなる要因で認識されているのか、十分な理解には到達していない。内在性RNAに対するRNAiの曖昧な捕捉は永続的ヘテロクロマチン抑制を無節操に引き起こす危険性を意味し、RNAi機構の標的認識は厳密に制御されていると考えられる。本研究はこのようなRNAi機構の標的となる内在性RNAの区別メカニズムを明らかにし、RNAiの標的RNA捕捉のきっかけを解明することを目標にしている。これまでの解析により、私たちはRNAi機構の標的となる分裂酵母のノンコーディングRNAのなかに特徴的な配列SIREが含まれることを見出した。今年度はSIREを含む異所的な転写産物がヘテロクロマチン変異株において辿る運命をさらに解析し、ヘテロクロマチン欠損条件下ではSIREの上流RNAに特異的にRNAi機構が作用する可能性が見出された。また、今年になってデータベース上で公開された、次世代シークエンサーによる野生株や様々な変異株でのsiRNA配列解読情報を解析し、SIREがノンコーディングRNAの中で特徴的な位置取りとなっていることを改めて結論づけた。SIREへの作用因子の探索を開始し、現在も解析を継続している。
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