2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21687014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 浩二郎 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特任准教授 (40360276)
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Keywords | RNA干渉 / 染色体 / ヘテロクロマチン / ノンコーディングRNA / 分裂酵母 |
Research Abstract |
本研究では、RNA干渉(RNAi)機構による小分子RNA産生が染色体上のヘテロクロマチン形成を制御する仕組みの解明を試みている。RNAiはそもそも、細胞にとって外来性の遺伝因子を排除するために発達してきた細胞質での防御機構だが、近年になってRNAiは細胞核においてもヘテロクロマチン構造の形成と維持などに機能していることが提唱されはじめている。しかしながら、RNAi機構の標的となる反復配列由来ノンコーディングRNAがいかなる要因で認識されているのか、現在のところ十分な理解は得られていない。内在性RNAに対するRNAi機構の曖昧な捕捉は永続的ヘテロクロマチン抑制を無節操に引き起こす危険性を意味し、RNAi機構の標的認識は厳密に制御されていると考えられる。本研究はこのようなRNAi機構の標的となる内在性RNAの区別メカニズムを明らかにし、RNAiの標的RNA捕捉のきっかけを解明することを目標にしている。これまでの解析により、私たちはRNAi機構の標的となる分裂酵母のノンコーディングRNAのなかに特徴的な配列SIREが含まれることを見出している。今年度はさらに、SIREのRNAとしての認識に直接関わる因子の探索を進めた。その結果、通常は別のRNA代謝に関わる複合体の一部がSIRE認識を担っていることを見出した。そのような一連の因子群に機能欠損変異があると、SIREによってヘテロクロマチン非依存的に生み出される異所的なsiRNA産生が不能となった。また、その認識を阻害する核酸配列変異をSIREに導入した場合にも同様のsiRNA産生不能が起こった。それらの因子群が通常とは異なる機能経路でRNAi機構を呼び込む仕組みについて、現在解析を進めている.
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