2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21687014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 浩二郎 大阪大学, 生命機能研究科, 特任准教授 (40360276)
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Keywords | 染色体 / 小分子RNA |
Research Abstract |
本研究はRNAi機構の標的となるヘテロクロマチン領域由来の内在性ノンコーディングRNAの区別メカニズムを明らかにし、RNAiの標的RNA捕捉のきっかけを解明することを目標にしている。昨年度までの研究により、分裂酵母のRNAi機構の標的となるノンコーディングRNAに特徴的な配列SIREが、siRNA配列とヘテロクロマチンに依存的なRNAi機構の標的認識とは独立に、RNAスプライシングに関わるRNA結合タンパク質複合体の認識対象となっている可能性が見出されていた。今年度はまず、RNAスプライシング因子の機能欠損変異の表現型解析を進めた。RNAスプライシング因子の機能欠損変異のいくつかはヘテロクロマチン形成の異常を引き起こすことが知られているが、SIRE依存的なsiRNA誘導がそれらの変異によって阻害されるかを検証した。その結果、ヘテロクロマチンが異常になるRNAスプライシング変異株ではSIRE依存的なsiRNA誘導も不能となることが明らかとなった。このような効果は、RNAスプライシングの初期認識に関わる因子から後期反応に関わる因子まで幅広く生じており、RNAスプライシング反応がSIREを介したRNAi機構にも大きく関わっていることが示唆された。SIREにはRNAスプライシングの部分コンセンサス配列があり、その配列に変異を導入するとSIREのsiRNA誘導能力は完全に消失した。また、SIREのスプライシング部分コンセンサス部分をより効率の良いスプライシングを起こす配列に置換してやると、siRNA誘導能力も上昇した。SIREの働きがRNAスプライシング因子との相互作用に依存していることが示された。SIREの機能増強を導く配列置換は特にRNAスプライシング反応の初期RNA認識因子Prp2の働きに大きな影響を与えるものであったが、興味深いことに、prp2変異の中のあるアリルはSIRE依存的なsiRNA誘導を阻害せず、むしろ増強的な効果を示した。従って、prp2に代表されるようなスプライシング配列の初期認識が、特定の条件下ではRNAi機構へと標的RNAを導く可能性が示された。
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