2011 Fiscal Year Annual Research Report
樹冠表面温度を利用した都市気温分布図の作成と緑地の気候緩和機能の分析
Project/Area Number |
21688001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村上 暁信 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10313016)
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Keywords | リモートセンシング / モニタリング / 熱収支 / ヒートアイランド / 都市緑化 |
Research Abstract |
本研究では航空機リモートセンシング観測データから樹冠の表面温度を抽出した結果と,熱環境シミュレーターを用いて樹冠周辺の熱環境を再現した結果を併用することで都市の気温分布図を作成すること,さらに得られた気温分布図を用いて都市緑地のヒートアイランド緩和機能を評価することを計画している。本年度は,航空機リモートセンシング観測を行った地域について,現地調査を行い,空間形状,材料情報を含む形で3D-CADモデルを作成した。さらに作成したモデルを用いて熱収支シミュレーターにより全表面温度分布を算出した。また同シミュレーターを用いて平均放射温度の空間分布を把握した。これらの結果を用いて,対象地域内の樹冠が周辺地物から受けている受熱放射量を評価し,その結果から樹冠の温度が気温相当と判断できる箇所を抽出した。次に抽出された位置の表面温度から気温分布図を作成した。また得られた気温分布図と,昨年度に調査した分析対象地区の生物季節(ソメイヨシノの開花日)の結果を比較解析した。ソメイヨシノの開花日については市街地では郊外部に比べて開花日のばらつきが大きく,開花日の早い地点が現れ得ること,都市内における開花日と周辺土地被覆の間には有意な相関があることが示されたが,対象地区内の2都市間では土地被覆の影響度合いに違いがみられた。気温分布図から2都市の各市街地での気温分布が異なっていたことから,地域間に生じた開花日の差は広域的な気候環境の違いが反映されていることが確認され,かつ,このような気候環境の違いを本手法によるモニタリングで評価し得ることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
航空機リモートセンシングデータの取得に関して,天候等の事由から遅れが生じていたが表面温度データも入手でき,かつ3D-CADモデルの作成も順調に進んだことから全体としてはおおむね順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたリモートセンシングデータと構築したCADデータを使って解析を進めていく予定である。同時に,本解析から得られた知見を使って,都市温熱環境のモニタリングについて一般的な市街地に応用できるよう,手法を構築していく。そのために適宜主たる研究対象地以外でもデータを取得し,手法の評価を行っていく。
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