2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物のアンモニウム態窒素栄養と根の形態に関する研究
Project/Area Number |
21688006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小島 創一 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (30462683)
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Keywords | 植物栄養 / 窒素代謝 / 輸送担体 / 根 / 形態形成 / シグナル伝達 / アンモニウム / 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
植物の根系の発達は、植物の栄養状態や、植物が利用できる環境中の栄養状態に強く依存している。硝酸を根へ供給すると側根の伸長が促進されることは既に知られていたが、我々はシロイヌナズナの根へ局所的にアンモニウムを供給すると、側根の数や高次根の枝分かれが促進されることを見いだした。局所的なアンモニウムの供給による側根数の増加や、高次根の枝分かれの促進は、安定同位体標識窒素の蓄積には関連が見られなかったことから、この現象は、植物根の栄養状態の変化による応答ではなくて、根によるアンモニウムの検知によって引き起こされていると考察した。アンモニウムによる根の枝分かれの促進効果は、アンモニウムトランスポーター(AMT)を四重に欠損する変異体(qko ; amt1;1, amt1;2, amt1;3, amt2;1)では、ほとんど見られなくなり、AMT1;3を欠損する変異体でも、野生型と比較して有意に減少した。また、AMT1;3をqkoやamt1;3へ相補した系統では、アンモニウム依存的な側根の枝分かれが回復したが、AMT1;1では相補することができなかった。以上の結果から、シロイヌナズナ根は、AMT1;3によってアンモニウムを検知し、根を枝分かれさせることが明らかとなった。これらのことから、植物の根がAMTを介して、環境中のアンモニウムを検知し、根の生育を変化させることが分かった。植物の根が栄養を検知して、効率的に栄養を吸収する機構を明らかにするための分子的な基盤を構築した。 また、環境中の微量な窒素栄養の検知と、根の形態変化という観点から、ポリアミン化合物に着目した。ポリアミン化合物は、土壌にごく微量濃度で存在しているが、動物の死骸が土壌で分解されるときに生成する化合物であることから、植物の根にポリアミン化合物を検知できる能力が備わっているかについての考察を進めれば、自然界における窒素サイクルの機構について、新しい知見を加えることができるかもしれない。ポリアミン類を局所的に根へ与えたときに、側根の生育が誘因される可能性が示唆された。このポリアミンの検知へ輸送担体が関与する可能性を探索している。
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[Presentation] Rice vacuolar membrane-localized amino acid transporter, OsATA1;2, transports glutamine2010
Author(s)
Toshihiko Hayakawa, Ryusuke Ishida, Keisuke Kobayashi, Kuni Sueyoshi, Toru Kudo, Yoko Shiroto, Yoshitsugu Hongo, Soichi Kojima, Tomoyuki Yamaya
Organizer
Nitrogen2010, 1st International Symposium on the Nitrogen Nutrition of Plants
Place of Presentation
犬山国際センター
Year and Date
20100726-20100730
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