2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21688008
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
舛廣 善和 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (00336083)
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Keywords | 細胞膜透過性タグ / サイトカイン / SOCS / DP-1 / p53 / Stabilon |
Research Abstract |
本研究では、細胞膜透過性タンパク質による癌の抑制を目標に、細胞膜透過性タグ(MTM ; Membranetranslocating motif)を融合した癌抑制タンパク質(p53,SOCS-3,SOCS-2)や白血球分化誘導性転写因子(RAR alpha)の発現系確立を目指した。 本年度は、細胞膜透過性SOCS-2がIGF-1シグナルを抑制可能であること(下流のSTAT3のシグナル伝達を抑制した)を解明した。よって、本タンパク質が成長ホルモン過剰による巨人症のみならず、癌増殖の抑制にも有効である可能性が示唆された。 細胞膜透過性p53においては、in vivoでの効果を確認するため、p53ノックアウトメダカの系を確立するとともに、ゼブラフィッシュでのp53解析系も構築した。また、p53はミトコンドリアにも局在し細胞のアポトーシスに関わることから、ミトコンドリア移行シグナル融合の細胞膜透過性p53も作成した。 細胞膜透過性RAR alphaタンパク質については、これまでにDNA結合能、RXRとの2量体形成能、転写活性化能、白血病患者由来のNB4細胞およびレチノイン酸不応性のNB-4R2細胞を顆粒球へ誘導することを確認していたが、細胞内での分解が早いことが問題であった。本研究では転写因子DP-1のC末端側にタンパク質分解耐性モチーフ(DP-1 Stabilon)を発見した。RAR alphaにこのモチーフを融合すると、約6倍発現が上昇した。DP-1 Stabilonモチーフを研究代表者が所持する様々なタンパク質に融合したところ、約半分のタンパク質で安定化が見られ、特に核タンパク質の安定化がみられた。よって本モチーフは細胞内で分解の早いタンパク質の安定化モチーフとして応用できる可能性が高く、今後細胞膜透過性タンパク質の実用性を大きく伸ばす可能性がある。
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