2009 Fiscal Year Annual Research Report
木材腐朽担子菌が有するシトクロムP450の網羅的機能探索と高度利用
Project/Area Number |
21688013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
一瀬 博文 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (00432948)
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Keywords | シトクロムP450 / 微生物 / バオテクノロジー |
Research Abstract |
1. 褐色腐朽担子菌P450遺伝子の獲得 褐色腐朽菌(Postia placenta)のゲノムデータベースを精査して381のP450遺伝子を決定した。このうち完全長遺伝子として期待された262種の遺伝子を標的としてPCRプライマーを設計し、RT-PCRによるcDNA獲得を試みた。検討の結果、種々のP450遺伝子が発現する培養条件の決定に至った。最適条件下で培養した菌体よりRNAを抽出し、RT-PCRによるcDNA増幅を試みたところ、216種のP450が実際に転写されることが明らかになった。本年度、165種の完全長cDNAを獲得することに成功した。 得られた完全長cDNAを酵母用発現ベクターに連結し、Saccharomyces cerevisiaeに形質導入してリコンビナント酵素の発現を行った。現在、100種の形質導入を終えている。P450に特徴的なスペクトル変化を指標として異種発現効率を検討したところ、60種のリコンビナントP450が効率的に産生されることが明らかとなった。リコンビナント酵素を発現する形質転換体を用いて機能スクリーニングを遂行している(H22年度実施予定)。 2. 白色腐朽担子菌P450の機能解析 既に構築済みの白色腐朽菌(Phanerochaete chrysosporium)P450の機能ライブラリーを用いて汚染物質分解を可能とするP450分子種のスクリーニングを行った。一連の結果より、多種多様な汚染物質を変換する多機能性P450の発掘に至った。 大腸菌を用いて多機能性P450の高発現系を構築し、高純度なリコンビナント酵素の獲得を可能とした。精製酵素による変換反応を追跡したところ、P450電子伝達系に関する新規反応メカニズムが明らかとなった。本発見は、安価な物質生産プロセス構築へ向けた有益な知見を与えた。
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