2011 Fiscal Year Annual Research Report
木材腐朽担子菌が有するシトクロムP450の網羅的機能探索と高度利用
Project/Area Number |
21688013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
一瀬 博文 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00432948)
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Keywords | シトクロムP450 / 微生物 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
1.有用物質生産を目指した担子菌P450の網羅的機能探索 白色腐朽菌(Phanerochaete chrysosporium)および褐色腐朽菌(Postia olacenta)のP450を異種発現する304種類のSaccharomyces cerevisiaeを獲得した。組換酵母に種々の化合物を添加して微生物変換を追跡したところ、イソフラボン誘導体・スチルベン誘導体・植物由来ジテルペンに高い活性を示す分子種の発掘に成功した。P450を作用させて得られる化合物は、多種多様な生理活性を有することが期待される。 本年度の研究により、有用化合物の合成を可能とする担子菌P450が発掘された。有用分子を遺伝子工学的に改変して機能強化酵素を創出することも可能であり、一連の研究成果が医薬・創薬分野の発展を促進すると期待された。 2.担子菌P450の機能解析 機能を明らかにした担子菌P450の大量発現に挑戦した。シャペロンタンパク質を高発現する大腸菌を用いることで、担子菌P450を異種高発現させることに成功した。また、高度に精製したP450酵素を用いて反応特性について検討したところ、一部の担子菌P450がシトクロムb5依存的に活性を発現することが明らかになった。シトクロムb5とP450を共発現させることで、高いP450活性を示す組換大腸菌を創出することが可能であった。組換大腸菌が安息香酸誘導体を効率的に変換したことから、液晶原料などの化成品合成への利用が期待された。 また、褐色腐朽菌P450(CYP53D2)を発現する酵母のミクロソームを調製してフェニルプロパノイド類に対する変換活性を追跡したところ、本酵素がメトキシル基を認識して活性を発現することが示された。褐色腐朽菌がリグニン関連物質の脱メチル化反応を行うことから、本酵素が褐色腐朽の過程で重要な役割を果たすことが示唆された。
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