2010 Fiscal Year Annual Research Report
サクラマス成熟雄の生理に影響を与える性フェロモンの解明
Project/Area Number |
21688016
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
山家 秀信 東京農業大学, 生物産業学部, 講師 (40423743)
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Keywords | 性フェロモン / 性ステロイド / サケ科魚類 / 尿 / トリプトファン代謝物 |
Research Abstract |
サケ科魚類における雄の血中ホルモン量など内分泌因子を増長させる性フェロモン(プライマーフェロモン)の存在は長年示唆されてきたが、コイ科の研究と同様にホルモナルフェロモン概念を踏襲しており、まだ誰もその物質を同定していない。サクラマスのプライマーフェロモンを同定すれば、既に同定済みの行動を誘起するリリーサーフェロモン(トリプトファン代謝物)と対を為すことにより、魚類における新たな性フェロモン機構とその多様性を示すことができる。そこで本研究では、サクラマスのプライマーフェロモンについて、排精早熟オスを用いて排卵メス尿の経時的なプライマー効果を調べた。また、排精早熟オスを用いて排卵メス尿の10^<-5>倍希釈~10^<-10>倍希釈群とControl群の計7群においてプライマー効果の濃度依存性を調べた。プライマー効果はTestosterone (T)、11-ketotestosterone (11-KT)、17α,20β-dihydroxy-4-pregnen-3-one (17,20β-P)の血中濃度および精液量を測定することにより検定した。 その結果、T濃度は曝露3時間後に上昇し4時間後には降下した。11-KT濃度は5時間後に上昇した。17,20β-P濃度は曝露3時間後から有意に上昇し、6時間後には降下した。また、各種ステロイドホルモン濃度は、いずれも濃度依存性を示した。一方、いずれの実験においても精液量に変化は見られなかった。今後は排卵メス尿だけでなく様々なトリプトファン代謝物で検討する予定である。
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