2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21688022
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
水野 拓也 山口大学, 農学部, 准教授 (90398826)
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Keywords | リンパ腫 / 犬 |
Research Abstract |
本研究は、(1)抗体療法開発のための犬のリンパ腫特異的表面抗原の同定と、(2)リンパ腫特異的シグナル伝達径路の解明による低分子阻害療法の開発といった、大きく分けて二種類の研究計画から成っている。 初年度である本年度は、主に上記解析に用いる患者由来腫瘍細胞の増幅系の確立を行なうこととした。重度免疫不全マウスNOD/Shi-scid IL-2r γ nullにリンパ腫発症犬より分離した腫瘍細胞を移植し、腫瘍の増殖が認められるかを検討した。しかし、中には腫瘍の生着および増殖が認められる場合もあったが、重度免疫不全マウスを用いたとしても、確実に腫瘍細胞が得られるわけではなかったため、最終的に上記研究計画を実施するにあたって予定を変更し、本研究室で樹立したリンパ腫由来細胞株および他研究室より分与されたリンパ腫由来細胞株を用いて研究を進めることとした。 (1)については、リンパ腫由来T細胞株Ema細胞をラットに免疫し、Ema細胞に対するモノクローナル抗体(mAb)を産生するハイブリドーマライブラリーを作製した。結果、フローサイトメトリーにおいてEma細胞を認識する全63種類のハイブリドーマが作製できた。次年度は、これら抗体からリンパ腫特異的抗体の選択およびその抗体の認識する抗原の同定を実施する予定である。 (2)については、先の腫瘍症例由来腫瘍細胞の免疫不全マウス移植系が確立できなかったため、当初の予定であった「腫瘍細胞由来蛋白を用いた抗体アレイ」に十分な細胞数を確保するのが難しくなった。そのため、リンパ腫特異的に発現する蛋白の代替として、特異的に発現する遺伝子をマイクロアレイを用いて解析することとした。用いたサンプルは、犬のT細胞型リンパ腫症例由来腫瘍細胞および正常ビーグルより磁気ビーズを用いて分離した末梢血液由来T細胞それぞれ3例ずつである。その結果、正常T細胞と比較するとリンパ腫腫瘍細胞においてそれぞれ約3300個の遺伝子が増加および減少していることが明らかとなった。次年度には、これら遺伝子の発現について多くのリンパ腫症例を用いて解析する予定である。
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Research Products
(3 results)