2010 Fiscal Year Annual Research Report
高速原子間力顕微鏡を用いた固液界面におけるセルラーゼ分子の可視化
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21688023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五十嵐 圭日子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (80345181)
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Keywords | セルラーゼ / セルロース / 高速原子間力顕微鏡 / 固液界面 / セロビオヒドロラーゼ |
Research Abstract |
不溶性基質を分解する酵素は一般的に固体基質に吸驚するドメインと、加水分解などの触媒反応を司るドメインから構成されていることが知られている。すなわち、固液界面における酵素反応は、まず固体の甚質に酵素が吸着することからスタートし、酵素に対してアクセシブルな表面から反応が進んでいくと考えられている。そこで本研究では、高速原子間力顕微鏡(High-Speed Atomic Force Microscopy:HS-AFM)を用いて、セルロースを加水分解するセルラーゼの無撫臓-分子観察を行い、生化学的実験結果と照らし合わせることで、セルラーゼによるセルロース分解機構の解明を目指した。 本年度は、Trichoderma菌由来Ce17Aの活性中心内部のトリプトファン残基W40、W38、W367、およびW376をそれぞれアラニンに量換した変異体(W40A、W38A、W367A、W376A)に対し、一分子観察を金沢大学に設置されている高速原子間力顕微鏡によって高解像度に観察することを試みた。その結果全ての変異酵素において野生型と比較して顕著な活性減少が観察された。また、高速原子間力鎮徽鏡による観察ではW40AおよびW38A変異体では基質を取り込むことができない様子が観察されたのに対して、W367とW376Aでは酵素分子が基質表面で動けない様子が観察された。以上の結果は、セルロース系バイオマスを糖化するための鍵酵素であるTrichoderma菌由来Ce17Aによるセルロース分解機構を明らかにするために大変重要な手がかりとなることから、現在投稿準備中である。さらに、同菌由来のCel6AとCe17Aを逐次的に反応させることによって、結晶性セルロースが完全崩壊する操子もHS-AFMで観察することに成功した。本結果は米国科学会誌(Science誌)333巻6047号1279-1282頁(2011年9月2日)に掲載された。
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[Journal Article] Traffic jams reduce hydrolytic efficiency of cellulase on cellulose surface2011
Author(s)
Igarashi, K., Uchihashi, T., Koivula, A., Wada, M., Kimura, S., Okamoto, T., Penttila, M., Ando, T., and Samejima, M.
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Journal Title
Science
Volume: 333
Pages: 1279-1282
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