2009 Fiscal Year Annual Research Report
光合成CO2固定酵素ルビスコの高機能化による植物光合成促進
Project/Area Number |
21688024
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
蘆田 弘樹 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 助教 (50362851)
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Keywords | 光合成 / CO_2固定 / ルビスコ / ルビスコ祖先タンパク質 / 紅藻 / 葉緑体 |
Research Abstract |
現在の植物CO_2固定酵素ルビスコは、O_2とCO_2を誤認識するためCO_2固定効率が悪く、これが光合成能を大きく低下させる原因となっている。O_2反応性抑制のようなルビスコ高機能化が、植物光合成増大を可能にすると期待される。そこで、本研究では、祖先タンパク質と現存する高機能ルビスコを用いたルビスコ高機能化部位の同定(1,2)および高機能化部位の植物ルビスコへの導入(3)を行っている。1) ルビスコ祖先タンパク質は、ルビスコ触媒残基のいくつかに置換を有しCO_2固定能とO_2反応性を示さないことから、これらが両ガス基質反応性に関与すると予想された。これら残基と両反応の関連性を解析するために、全てルビスコ型アミノ酸に置換した枯草菌と紅色非硫黄細菌の変異祖先タンパク質遺伝子を作製した。今年度はルビスコ型変異祖先タンパク質のルビスコ触媒能獲得の有無を解析する。また、祖先タンパク質とルビスコの比較解析から、共通保存残基H294が酵素活性化促進残基であることを突き止めた。2) 植物ルビスコと紅藻の高機能ルビスコの比較から、紅藻ルビスコのO_2反応性抑制残基をいくつか想定している。今年度は、植物ルビスコ研究モデルのラン藻ルビスコにこれら紅藻型残基を導入した変異ルビスコ遺伝子の作製を行った。大腸菌リコンビナント発現系を構築し変異ラン藻ルビスコが得られ次第、導入効果を解析する。3) ラン藻ルビスコを用いた研究から既に同定しているO_2反応性を17%抑制する紅藻ルビスコ高機能化残基をルビスコに導入した形質転換タバコの作製を行った。T0世代において、紅藻型ルビスコ遺伝子を持つ変異葉緑体ゲノムがホモプラズミックであり、変異型ルビスコが正常に蓄積していることを確認した。さらに、この形質転換体を土上げし、種子を獲得した。現在、形質転換タバコを用いて、ルビスコ酵素特性と植物体光合成能への導入効果を解析している。
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