2011 Fiscal Year Annual Research Report
光合成CO2固定酵素ルビスコの高機能化による植物光合成促進
Project/Area Number |
21688024
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
蘆田 弘樹 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (50362851)
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Keywords | 光合成 / 植物 / CO2固定 / ルビスコ / 葉緑体形質転換 / アーキア |
Research Abstract |
植物が光合成で用いているCO_2固定酵素ルビスコは、0_2をCO_2と誤認識するため触媒効率が低く、葉のCO_2固定速度を律速している。このため、ルビスコ高機能化が達成できれば、植物光合成能を増大させることが可能である。そこで、ルビスコ高機能化部位の同定(1)と同定した部位の植物ルビスコへの導入効果解析(2)を進めた。(1)好熱性の光合成生物が持つルビスコが高いCO_2親和性を示す傾向があることを見出し、地球上で最も高温で生育可能な好熱性シアノバクテリアのルビスコが常温性シアノバクテリアのルビスコよりも約3倍のCO_2親和性を示すことを明らかにした。好熱性と常温性シアノバクテリアのルビスコが高い配列相同性を持つことから、これらの比較解析により高CO_2親和性を発揮させている残基候補を同定した。また、アーキアのルビスコ祖先タンパク質の解析から、この酵素がルビスコとしての触媒能を持ち、光合成CO_2固定回路の原型と考えられる新規のCO_2固定経路で機能している可能性を明らかにし、ルビスコの進化的な高機能化研究の好材料を得た。(2)シアノバクテリアルビスコのCO_2親和性を1.5倍に高める、地球上で最も高いCO_2親和性を示す紅藻ルビスコ高機能性残基をルビスコに導入した葉緑体形質転換タバコの解析を進めた。高機能化残基導入タバコはコントロールと比較して、葉が大きくなる傾向が観察された。このとき、導入タバコはコントロールと比較して、昨年度の結果と同様、ルビスコ量が低下していたが、CO_2固定速度、CO_2補償点にはほとんど違いが見られなかった。ルビスコ高機能化効果を最適に発揮させるためには、ルビスコ量の補完制御が必要であると考え、ルビスコ量的制御に関わる遺伝子の単離を目指した。昨年度までに単離していたルビスコ量が低下したシロイヌナズナ変異株の解析から、さらに2つの新規なルビスコ量的制御遺伝子を同定した。
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