2009 Fiscal Year Annual Research Report
1,4-双極性活性種を用いる新しい環化付加反応の開発と生理活性物質合成への応用
Project/Area Number |
21689001
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松尾 淳一 Kanazawa University, 薬学系, 准教授 (50328580)
|
Keywords | 有機合成 / 環化付加 / 分子間反応 / 分子内反応 / 立体選択性 / ルイス酸 / シクロブタノン / 結合開裂 |
Research Abstract |
本年度は、3-エトキシシクロブタノンを四塩化スズを用いて活性化して1,4-双極性活性種を生成させ、これにアシルシランを反応させたところ、効率的に形式的な[4+2]環化付加反応が進行し、対応するシクロヘキサノン誘導体が得られることが分かった。また、アリルシランのシリル基上の置換基の種類の違いによって、期待した[4+2]環化付加ではなく1,5-ヒドリド転位の後に環化が進行して生成した化合物が得られることも明らかにした。 さらに、3-エトキシシクロブタノンを二塩化エチルアルミニウムを用いて活性化して1,4-双極性活性種を発生させ、これにケトン由来のシリルエノールエーテルを反応させたところ、炭素-炭素二重結合との形式的[4+2]環化付加が進行する事が分かった。この反応ではシリルエノールエーテルの幾何異性は生成物に反映され、立体特異的反応が進行していることを明らかにした。 また、3-エトキシシクロブタノンの2位の置換基上に二重結合を有する化合物を二塩化エチルアルミニウムを用いて活性化したところ、分子内のオレフィン部と分子内[4+2]環化付加が進行することが分かった。この反応により、様々な二環性骨格を簡便に合成できた。 来年度は、3-エトキシシクロブタノンをルイス酸で活性化して生ずる1,4-双極性活性種に対してインドールおよびイミン類を反応させ、含窒素六員環化合物を効率的に合成する手法を開発し、この反応を用いて鎮痛薬であるブレマゾシンやストリキニーネの合成に取り組む予定である。さらに、これまでに見出された新しい[4+2]環化付加反応を不斉合成へと展開する予定である。
|
Research Products
(19 results)