2010 Fiscal Year Annual Research Report
1,4-双極性活性種を用いる新しい環化付加反応の開発と生理活性物質合成への応用
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21689001
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松尾 淳一 金沢大学, 薬学系, 准教授 (50328580)
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Keywords | 有機合成 / 環化付加 / 分子間反応 / 分子内反応 / 立体選択性 / シクロブタノン / ルイス酸 / 結合開裂 |
Research Abstract |
四塩化チタンを用いて3位にジアルキル基を有するシクロブタノンを活性化することによって、トリクロロチタニウムエノラートが生じ、アルドール反応が進行することが分かった。また、引き続くNazarov環化によって多置換シクロペンテノン誘導体を効率的に合成できることを明らかにした。さらに、本研究において用いている3-エトキシシクロブタノンの効率的合成法を確立した。 3-エトキシシクロブタノンがルイス酸によって活性化され、シクロブタノン環のC2-C3結合が選択的に切断されて、双性イオン型中間体が生成し、この双性イオン型中開体がN-トシルイミンに対してもアルデヒドやケトンと同様に環化付加反応を起こし、形式的[4+2]環化付加体を与えることが分かった。このシクロブタノンとN-トシルイミンとの[4+2]環化付加反応を用いることによって、多置換型ジヒドロピリドン誘導体が1工程にて効率的に合成できた。数工程を経て合成される立体的にかさ高いケトンに対するエチル基の1,2-付加反応は、亜鉛アート錯体を用いることによって効率的に進行した。その後、全体として7工程、総収率26%にて(±)-ブレマゾシンの効率的合成法を確立できた。 また、アリルケテンとアルケンとの分子内アシル化反応が進行し、シクロペンテン誘導体が得られることを見出した。この基質一般性を明らかにすると共に、その反応機構は反応系内に生じるアンモニウムイオンの存在が重要であることを明らかにした。アリールケテンの場合、二量化が進行してエノールエステルが生成した。 さらに、不斉補助基としてシクロブタノンの3位に乳酸エチルエステルを有するシクロブタノンを用いてアルデヒドとの不斉環化付加反応を検討したところ、高いジアステレオ選択性が発現し、効率的な不斉合成反応を開発することができた。
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