2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノキャリア腫瘍集積を支配するEPR効果の検証とその能動的制御による革新的DDS
Project/Area Number |
21689002
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石田 竜弘 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50325271)
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Keywords | DDS / がん治療 / 抗がく剤 / リポソーム / 腫瘍内微小環境 / メトロノミック・ケモセラピー |
Research Abstract |
本研究では、(1)ナノキャリアに対するEPR効果について詳細に再検討するとともに、(2) low dose metronomic chemotherapy(LDM)などの腫瘍内血管系に影響する薬剤投与時のEPR効果の変化について詳細な検討を行い、抗がん剤デリバリーの限界を打破する戦略を構築することを最終目的とする。我々が示したLDMの併用を含め、TNF-αやTGF-βなどを併用することでナノキャリアの腫瘍移行性を高めた報告は既にある。しかしながら、EPR効果とこれら薬剤投与による腫瘍内環境変化との関連は全く明らかではなく、これらの解明を通じてこれまでなかった腫瘍内環境の能動的制御による革新的DDSの確立につなげる。 当該研究期間において、種々のがん細胞を移植したモデルマウスを用い、ナノキャリア(リポソーム)の腫瘍集積性に関して検討を行うと共に、種々の事なる物理化学的性質を有するナノキャリアの腫瘍移行性に関して検討を行った。結果として、明らかにがん種によってナノキャリアの集積性に変化が見られ、これはがん種によって形成される血管ネットワークの違いに起因する可能性が高いことが示唆された。また、腫瘍内に結合部位を持たない(リガンドで修飾されていない)ナノキャリアの腫瘍移行性はその血中滞留時間に依存するものの、血管内皮や腫瘍実質内に結合部位を有するキャリア(カチオニックリポソームやトランスフェリン修飾リポソーム)では必ずしも滞留時間によらない事が明らかとなった。これらの結果から、ナノキャリアの腫瘍集積に寄与するEPR効果に関して、これまでの説明とは異なる新たな解釈が成り立つ可能性が高い事が示唆された。
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Research Products
(9 results)