2009 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファチジルイノシトールリン酸生成酵素による生体機能調節
Project/Area Number |
21689003
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐々木 雄彦 Akita University, 大学院・医学系研究科, 教授 (50333365)
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Keywords | リン脂質 / イノシトールリン脂質 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
細胞膜脂質ホスファチジルイノシトールのイノシトール環は、その3、4、5位水酸基に可逆的なリン酸化を受ける。その結果、PIsと総称される8種類のリン脂質が生成される。哺乳類には50以上のPIs代謝酵素が存在するが、そのほとんどの生理機能は未だ不明である。本研究では特に、一リン酸型のPIsを生成する酵素に着目している。 今年度は、ホスファチジルイノシトール3,4-二リン酸を脱リン酸化して、ホスファチジルイノシトール3-リン酸を生成するinositolpolyphosphate4phosphataseの生理機能について研究の進展があったので報告する。inositolpolyphosphate4phosphataseにはAとB2種類のアイソザイムが存在する。inositolpolyphosphate4phosphataseA遺伝子欠損マウスは正常に生まれたが、一か月以内にすべてが死亡した。このマウスは激しい不随意運動を示した。ホスファチジルイノシトール3-リン酸はオートファジーに関与する。オートファジー不全マウスも不随意運動を示すが、これよりも表現型は著明であり、また、早期に発現した。inositolpolyphosphate4phosphataseA遺伝子欠損線維芽細胞においては、栄養飢餓によるオートファジーの誘導は正常であった。これらの結果から、inositolpolyphosphate4phosphataseAは、オートファジーの制御とは異なる機構で、神経細胞の生存を支える分子であることが示唆された。
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