2009 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質のパルミチン酸化修飾によるメチル水銀毒性軽減機構
Project/Area Number |
21689005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黄 基旭 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 助教 (00344680)
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Keywords | 有害化学物質 / パルミチン酸化修飾 / 脳・神経疾患 / 生体分子 / メチル水銀 |
Research Abstract |
本申請者は、Akr1のパルミチン酸転移活性が酵母でのメチル水銀毒性軽減において重要な役割を果たすことを見出した。また、Akr1結合蛋白質であるWhi2はAkr1のパルミチン酸転移活性を負に制御することによってメチル水銀毒性増強に関与することも明らかにしている。そこで本研究では、パルミチン酸化修飾反応によるメチル水銀毒性軽減機構およびパルミチン酸化修飾反応の活性調節機構を明らかにすることを目的としている。Akr1のパルミチン酸転移活性はメチル水銀濃度依存的な上昇が認められ、その活性の上昇にはAkr1とWhi2との結合の抑制およびAkr1 mRNAレベルの上昇が関与していることが明らかになった。また、様々な領域をそれぞれ欠失させた変異Akr1とWhi2の結合を検討したところ、すべての変異Akr1とWhi2との結合が認められた。以上のことから、メチル水銀はAkr1の転写を誘導すると共にAkr1とWhi2の結合を抑制することによりAkr1の活性を上昇させ、このような機構が細胞内でのメチル水銀毒性に対する防御機構として機能している可能性が示唆された。次に、メチル水銀毒性軽減に関与するAkr1の基質(パルミトイル化される蛋白質)を検索したところ、Meh1欠損酵母が野生型酵母に比べ高いメチル水銀感受性を示した。そこで、Akr1・Meh1二重欠損酵を検討したところ、Akr1単独欠損酵母と同程度のメチル水銀感受性を示した。また、パルミチン酸修飾領域を欠失させた変異Meh1を作成したところ、Meh1によるメチル水銀毒性軽減作用が認められなくなった。このことから、Akr1によるメチル水銀毒性軽減作用には、少なくとも一部はMeh1(機能未知)のパルミトイル化が関与している可能性が考えられる。本知見はパルミチン酸転移酵素Akr1によるメチル水銀毒性軽減機構を解明する上で重要な手がかりを提供するものである。
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Research Products
(9 results)