2011 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質のパルミチン酸化修飾によるメチル水銀毒性軽減機構
Project/Area Number |
21689005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黄 基旭 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (00344680)
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Keywords | 有害化学物質 / パルミチン酸化 / メチル水銀 |
Research Abstract |
パルミチン酸転移酵素であるAkr1が示すメチル水銀毒性の軽減作用に、Meh1のパルミチン酸修飾が関与していることが明らかになっている。これまでに、Meh1は液胞膜上に存在するEgo3と結合することによってEGO複合体を形成し、オートファジーの調節に関与していると予想されてきた。しかし、Ego3を欠損させてもMeh1は依然と液胞膜上に分布し、パルミチン酸修飾されない変異Meh1はそのほとんどが細胞質に分布した。これらのことから、Meh1はパルミチン酸修飾を受けることで液胞膜上にリクルートされた後に、Ego3と結合することによってEGO複合体を形成すると考えられる。また、Meh1の構造中にはミリスチン酸修飾を受ける部位も存在する。ミリスチン酸修飾されない変異Meh1が液胞膜上に分布したことから、Meh1の液胞膜への局在にミリスチン酸修飾は関与しないことが判明した。しかし、興味深いことに、本変異体はその蛋白質レベルが著しく低下したにも関わらず野生型Meh1と同程度のメチル水銀毒性の軽減作用を示すと共に、パルミチン酸修飾のレベルも野生型Meh1に比べて高値を示した。このことは、Meh1のミリスチン酸修飾がパルミチン酸修飾を負に制御している可能性を示唆する初めてのものであり、今後、更なる検討が必要である。また、メチル水銀がMeh1のパルミチン酸修飾のレベルおよび液胞膜上への局在を僅かに抑制したことから、メチル水銀はMeh1のパルミチン酸修飾を阻害することによって自身の細胞毒性を増強しているかも知れない。今後、さらに詳細な検討を行うことによって、Meh1のパルミチン酸化修飾によるメチル水銀毒性の軽減機構が解明されるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パルミチン酸転移酵素Akr1によるメチル水銀毒性の軽減にMeh1のパルミチン酸化が関与しており、パルミチン酸化されたMeh1は液胞膜上でEGO複合体を形成することでメチル水銀毒性の軽減に関与することを明らかにした。また、Meh1の細胞内分布やEGO複合体形成におけるパルミチン酸修飾の役割の解明も順調に進行している。したがって、当初の目標を向けて順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
Akr1によってパルミチン酸修飾を受けたMeh1がリソソーム膜上にリクルートされた後に、オートファジーの調節に関わるEGO複合体の一員としてメチル水銀毒性の軽減に関与する可能性が示唆されている。今後、Meh1が示すメチル水銀毒性の軽減作用に関わる分子機構を詳細に検討すると共に、EGO複合体の形成におけるパルミチン酸修飾の関与等について検討する。最近、Meh1のヒトホモログとしてP18が同定され、酵母と同様に、リソソームの機能維持に関与することが報告された。また、Rag-Ragulator複合体がEGO複合体のヒトホモログである可能性も示唆されており、これら蛋白質とメチル水銀毒性との関わりについても検討する予定である。
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Research Products
(6 results)