2009 Fiscal Year Annual Research Report
hTERT-RMRP複合体による幹細胞及びがん幹細胞の機能維持における役割の解析
Project/Area Number |
21689012
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
増富 健吉 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, がん性幹細胞研究プロジェクト, ブロジェクトリーダー (20450570)
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Keywords | 癌 / 幹細胞 / 生化学 |
Research Abstract |
テロメレース触媒活性サブユニットであるテロメレース逆転写酵素(TERT)の新規結合パートナーを同定しその新規複合体の機能および生理学的意義を検討することを目的として「幹細胞の機能維持に重要なテロメレース逆転写酵素と結合する新規RNAの同定と解析」を研究とした。本研究課題の研究過程でテロメレース逆転写酵素に結合する新規RNAとしてTERCと類縁のsmall nucleolar RNA(snoRNA)に分類されるRNase mitochondrial RNA processing endoribonuclease(RMRP)を同定した。hTERTとRMRPによる複合体はRdRP活性を有することを示した。hTERTとRMRPによるRdRP複合体によりできた長い2重鎖RNAはDicer依存的に22塩基のRNAにプロセスされることを確認した。さらに、Dicer依存的に合成される22塩基の短いRNAは5'端は1リン酸化、3'端は2-OHの修飾を受けていることから内在性siRNAであることを示した。さらに、これらの短い2本鎖RNAはAgoに取り込まれsfRNAとして機能していることがわかった(Nature, Maida et al, 2009)。RMRPは小人症、毛髪軟骨低形成を主症候とする遺伝性疾患であるCartilage Hair Hypoplasia(CHH)の原因遺伝子であることが知られている。その他にも、免疫不全、リンパ腫の発生、易がん性などの多様な症候を呈することが知られている。本疾患の主症候が、末梢血幹細胞移植により著明に改善することから、本疾患の病態の本態はRMRP遺伝子異常に伴う間葉系幹細胞の異常であることが示唆されている。RMRPとTERT複合体は、幹細胞やがん幹細胞機能維持において疾患成立過程における重要な意義を有することが示唆された。
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