2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21689023
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
曽田 学 自治医科大学, 医学部, 研究員 (10406118)
|
Keywords | EML4-ALK / 肺がん / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
我々が発見したEML4-ALK融合型がん遺伝子はEML4 cDNAのエキソン13がALK cDNAのエキソン20に融合したものであったが、ALKのエキソン20に論理的にin-frameで融合しうるEML4のエキソンには13だけでなく2、6、18、20、21が存在する。そこでこれらのエキソンでALKに融合した新たなEML4-ALKバリアントcDNAも検出可能なように、EML4遺伝子のエクソン1、3、13、20上にそれぞれforward primerを設計した。また我々はALKの別の融合型がん遺伝子KIF5B-ALKも発見したが、上記と同様にKIF5Bのエクソン2、11、17、24それぞれにも別の4種類のforward primerを設計し、これら計8種類のprimerとALKのエクソン20上に設置したreverse primerとを混和したmultiplex RT-PCR法による検出プロトコールを開発した。 さらに本法を用いて多数の肺がん検体(喀痰+生検標本)からRNAを取り出してPCRを行った。実際の解析は、我々のボランティア診断活動「ALK肺がん研究会:ALK Lung Cancer Study Group (ALCAS)」において、上記RT-PCR法を用いて前向き診断を行った。これらの活動を通して数十例のEML4-ALK陽性例を検出し、そのうち15名が韓国ソウル大学で行われたALK阻害剤(crizotinib)による第一相臨床試験に参加することができた。なお我々が検出したEML4-ALKには新規バリアントが存在しただけでなく、本ラインin-frameに融合しないエキソンからでもALKエキソン20の内部にスプライシングが飛ぶ形で最終的にin-frameの癒合キナーゼが産生される異型バリアントも2種類含まれていた。以上よりマルチプレックスRT-PCR法はEML4-ALK/KIF5B-ALKを感度・精度良く検出可能な分子診断法であると言える。
|