2010 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームにおける遊離脂肪酸ダイナミズムの分子機構の解明
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21689026
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
菅波 孝祥 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (50343752)
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Keywords | 飽和脂肪酸 / 慢性炎症 / TLR4 / マクロファージ / Mincle / 肥満 / メタボリックシンドローム / ATF3 |
Research Abstract |
1)遊離脂肪酸の標的分子の探索と機能的意義の検討: 我々は既に、脂肪細胞に由来する飽和脂肪酸が病原体センサーTLR4を介してマクロファージを活性化し、脂肪組織の慢性炎症を増悪することを明らかにしてきた。本研究では、脂肪細胞とマクロファージの共培養を用いたトランスクリプトーム解析を施行し、肥満の脂肪組織における新たな炎症関連遺伝子として、macrophage-inducible C-type lectin(Mincle)を同定した。Mincleは、遺伝性あるいは食餌誘導性肥満マウスの脂肪組織において著しい発現亢進を認めた。培養マクロファージにおいて、Mincleは飽和脂肪酸/TLR4/NF-κB経路により誘導され、主にM1マクロファージ選択的に発現した。肥満症例の皮下脂肪組織においても、Mincle mRNAレベルがBMIと正の相関を示した。以上より、Mincleは肥満の脂肪組織における新たな病原体センサーと考えられる。Mincleは、結核菌や真菌に対する病原体センサーであるのみならず、死細胞に対するセンサーとしても作用する。肥満の脂肪組織において、M1マクロファージは細胞死に至った脂肪細胞を取り囲むように存在(crown-like structure)し、脂肪細胞死が脂肪組織炎症の程度と相関することが知られているため、脂肪組織炎症におけるMincleの病態生理的意義が示唆される。 2)メタボリックシンドロームにおけるATF3の病態生理的意義に関する検討: LysM-CreマウスとATF3 floxedマウスを交配することにより、マクロファージ特異的ATF3欠損マウス(ATF3 KO)を作出した。腹腔内マクロファージを調整し、ATF3のmRNA、蛋白レベルがそれぞれ80-90%ノックアウトされていることを確認した。ATF3 KOに高脂肪食を負荷すると、野生型マウスで認められるATF3 mRNAレベルの上昇がほぼ抑制されたことより、肥満で増加する脂肪組織のATF3は主に浸潤マクロファージに由来することが明らかになった。
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Research Products
(5 results)