2009 Fiscal Year Annual Research Report
E2Aの機能阻害による造血幹・前駆細胞の増幅及びその分子機構の解明
Project/Area Number |
21689027
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊川 友活 The Institute of Physical and Chemical Research, 免疫発生研究チーム, 研究員 (60450392)
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Keywords | 造血幹細胞 / 自己複製 / B細胞 / 転写因子 / E2A / Id3 |
Research Abstract |
我々はE2Aの転写抑制因子であるId3をマウスの造血幹細胞ヘレトロウイルスを用いて導入し、B前駆細胞の培養条件下に培養することによって造血幹・前駆細胞を生体外で増幅させることに成功した。この細胞をId因子を用いた造血前駆細胞という意味でId-induced Hematopoietic Progenitor(IdHP)細胞と名付けた。本研究ではIdHP細胞の自己複製能に着目し、この分子機構の解明に取り組むことを目的とする。 研究実地計画に従い、本年度はIdHP細胞を誘導するメカニズムの解析を行った。IdHP細胞とコントロールベクターを導入した(TAC)細胞および、E2A欠損造血前駆細胞(E2AHPC)、マウス胎仔肝臓造血幹細胞(LSK)からそれぞれRNAを採取し、マイクロアレイを用いて遺伝子発現パターンを比較した。IdHP細胞とコントロールのTAC細胞を比較したところ、IdHP細胞においてB細胞特異的遺伝子(CD79a, CD79b, VpreB, EBF1, Pax5)の発現が顕著に減少していた。一方でGATA3, Thy1, CD25, c/EBPβ, EpoR, MPOなど他の系列特異的な遺伝子の発現が上昇していた。この遺伝子発現パターンはE2HPCとほぼ同じであり、IdHP細胞がその分化・増殖能だけでなく、遺伝子プロファイルにおいてもE2AHPCと似ていることを示している。IdHP細胞とLSKを比べると、IdHP細胞のB細胞特異的遺伝子の発現が上昇していることが明らかとなった。このことはIdHP細胞がよりB細胞系列へ分化が進んでいることを示唆している。一方でGATA2, Csf3r, c/EBP_ε,EpoR等の発現が減少していることも明らかとなった。この結果はIdHP細胞のミエロイド系細胞、赤血球への分化能が限定されていることと一致している。
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Research Products
(7 results)