2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復系のライフサイクルとホメオスタシスに基づく放射線感受性予測・制御戦略
Project/Area Number |
21689033
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 義久 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (20302672)
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Keywords | 癌 / 放射線治療 / DNA二重鎖切断修復 / 発現制御 / 翻訳後修飾 / ライフサイクル / ホメオスタシス / 放射線感受性 |
Research Abstract |
本研究は、DNA二重鎖切断修復の非相同末端結合修復経路(NHEJ)で中心的な役割を演ずるタンパク質(DNA-PKcs、Ku86、Ku70、XRCC4、DNA ligase IV、XLF(別名Cernunnnos))に注目し、これらの分子が作られてから分解されるまでの一生(ライフサイクル)および変性などによる機能不全状態から回復あるいは防御する機構(ホメオスタシス)を探ることを目的としている。2年目にあたる本年は、翻訳後修飾による調節の解析を中心に行った。XRCC4については、これまでに5カ所のリン酸化状態特異的抗体を作製している。これを用いたウェスタン・プロッティングの結果、4カ所は放射線照射によってリン酸化が亢進するものの、1カ所は放射線照射による変化が認められなかった。欠損細胞や阻害剤を用いた検討の結果、リン酸化にはDNA-PKとATMが相補的に関わっていることが示された。また、XRCC4のクロマチン結合状態を解析した結果、ヒト細胞では放射線非照射時においても20Gyのγ線照射後と同等の結合が見られた。これらのことから、XRCC4は平常時(放射線非照射時)においても複製や転写に伴うDNA損傷に応答してDNA-PK、ATMによる調節を受けている可能性が考えられた。その他のリン酸化酵素、あるいはユビキチン化、SUMO化酵素などによる調節の可能性を探るため、変異体を系統的に作製した。また、上記分子のホメオスタシスを探るために、温熱、低酸素の影響や低線量率放射線に対する応答を解析した。
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Research Products
(10 results)