2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21689038
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中田 光俊 金沢大学, 医学系, 助教 (20334774)
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Keywords | グリオーマ / 幹細胞 / 浸潤 / インテグリン |
Research Abstract |
【目的】幹細胞様グリオーマ細胞は浸潤能が極めて高いと報告されている。本研究では、幹細胞様グリオーマ細胞の浸潤能を規定する分子を探索した。【方法】幹細胞様グリオーマ細胞を得るためneurosphere法およびCD133陽性細胞磁気分離法を用いた。次いで幹細胞様グリオーマ細胞の接着能を観察し、定量的RT-PCR法により浸潤関連分子の発現をスクリーニングした。さらに候補分子の腫瘍内局在、分子機能、シグナル伝達を解析した。【結果】手術摘出検体由来neurosphereがfibronectinとlamininに接着することから接着因子であるintegrinに着目した。グリオーマ細胞株および手術摘出検体よりCD133陽性細胞と陰性細胞を分離し、定量的RT-PCRを行うことで、CD133陽性細胞においてintegrin α3が普遍的に高発現していることを見出した。またneurosphereにおけるintegrin α3の発現を確認した。ヒトグリオブラストーマ組織において、幹細胞様グリオーマ細胞がプールされていると想定される腫瘍血管周囲のグリオーマ細胞および浸潤グリオーマ細胞にintegrin α3の局在を認めた。Integrin α3を強制発現させた3種類のグリオーマ細胞株の遊走能および浸潤能は有意に亢進し、内因性integrin α3の発現をsmall interfering RNAにより低下させた細胞では遊走能および浸潤能は有意に低下した。Integring α3の発現量と綱胞内シグナル伝達分子であるextracellular signal-regulated kinase(ERK)1/2の活性は正の相関を示した。またIntegrin α3の過剰発現により細胞内small GTPaseであるRac1活性は上昇傾向を示した。【結論】integrin α3は幹細胞様グリオーマ細胞において強く発現し、ERK1/2,Rac1の活性を介して遊走・浸潤能を亢進させることが示唆された。
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