2010 Fiscal Year Annual Research Report
難治性卵巣癌における上皮間葉転換に基づくオンコジェニックストレス耐性のメカニズム
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21689045
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梶山 広明 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00345886)
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Keywords | 上皮間葉転換(EMT) / 卵巣癌 / 転移浸潤 / 薬剤耐性 / 抗癌剤 / 放射線治療 / EMT誘導転写因子 / 腹膜播種 |
Research Abstract |
卵巣癌はその解剖学的構造より腹腔内転移を生じやすく、診断時にすでに周辺臓器へ浸潤していることが多い。抗癌剤は有効な治療であるが、多くの場合、薬剤耐性の腫瘍が再発する。卵巣癌のこのような悪性転換や転移浸潤には上皮間葉形質転換(EMT)が関わっていることを我々は見いだしてきた。我々は卵巣癌における新たなEMT制御機構を同定するため、卵巣癌で発現が亢進している転写因子をデータベースOncomineから抽出し検討した。その結果、ALX1遺伝子をEMTのKey molecule候補として見いだした。2つのALX1に対するsiRNAを卵巣漿液性腺癌由来のEs-2細胞、またはSKOV3細胞に導入すると、細胞の形態が上皮細胞様となるとともに、E-cadherinの発現亢進が観察された。またALX1の発現低下により、細胞浸潤能およびOncogenesityの低下がみられた。さらに、上皮細胞であるMCF10A細胞にALX1を過剰発現すると、形態が線維芽細胞様となり、E-cadherin発現が低下した。これらのことから、ALX1は細胞形態の変化、およびE-cadherin発現に重要な役割をはたしており、EMTを制御する重要な因子であると考えられた。さらに、ALX1のEMT制御メカニズムを検討したところ、ALX1の発現抑制がSnail発現を抑制し、また、ALX1はSnailのプロモーター領域を活性化することがLuciferase assayにて確認できた。従ってALX1はSnailの発現を介して、EMTを制御していると推測された。今後さらにALX1の抗腫瘍薬/放射線耐性への関与や卵巣癌細胞における分子標的治療に関する基礎的研究を進める予定である。
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Research Products
(9 results)