2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21689046
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
栗田 昌和 杏林大学, 医学部, 助教 (20424111)
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Keywords | 創傷治癒 / 瘢痕形成 / 線維芽細胞 / ケラチノサイト / 機械的刺激 / 伸展培養 / エンドセリン1 / 色素沈着 |
Research Abstract |
平成22年度は、当初計画に従い、脂肪由来間葉系細胞の伸展培養を行い、細胞数、脂肪、骨、筋への分化誘導による各系統への分化を調べたが、有意な傾向を得ることができなかった。臨床的に、間葉系細胞に対する機械的刺激と瘢痕形成との関連があるように考えられたため、基本情報として線維芽細胞の部位特異性についての研究と平行して(Kaminishi-Tanikawa A, Kurita M et al. JHPS, in press)脂肪由来間葉系細胞、線維芽細胞を用いて、伸展培養下での細胞外器質や瘢痕形成関連サイトカインの発現を調べたが、伸展培養による変化は認められなかった。以上のことから、機械的刺激が培養条件下の間葉系細胞に直接的に及ぼす影響は大きくないと考えられたため、隣接する組織を介して関節的に影響を及ぼしている可能性を考え、伸展培養下でケラチノサイトにおきる変化を調べた。ケラチノサイト由来のパラクラインサイトカインとして特に重要ないくつかの因子について発現の変化を調べたところ、伸展培養によってエンドセリン1の発現の上昇を認めた。エンドセリン1は、特にメラノサイトに対する刺激作用を有することが知られているため、ケラチノサイト、線維芽細胞由来のその他のメラニン原性サイトカイン発現の変化についてもデータを収集した。結果として、メラニン原生サイトカインの中で機械的伸展によってその発現が上昇するのは、ケラチノサイト由来のエンドセリン1のみであったことから、機械的刺激による色素沈着の病態としてエンドセリン1が重要な役割を果たしている可能性があると考え、これを論文報告した(Kurita et al.BBRC, in press)。エンドセリン1は、瘢痕形成、線維化に対しても重要な役割を果たすことが知られており、今後は、機械的刺激とこれらの病態との関連についても研究を遂行していく予定である。
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Research Products
(5 results)