2009 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン化システムに基づいた歯周組織幹細胞のサイトカインシグナルクロストーク
Project/Area Number |
21689053
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 元三 Osaka University, 歯学部附属病院, 助教 (90524984)
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Keywords | 歯周外科学 / ユビキチン化システム |
Research Abstract |
マウスの歯根膜より樹立しだ細胞MPDL22は石灰化誘導培地中で高い硬組織形成能を示すこと、FGF2依存性に強い細胞増殖応答能を有することをアリザリン染色法並びにMTTアッセイにて確認し、歯根膜組織中の間葉系幹細胞に類似する性質を保持した歯根膜幹細胞として本実験系に供した。培養系にFGF2を基軸として、歯周組織の恒常性の維持や組織の発生、創傷治癒時に発現機能しているサイトカイン群である、TGF-β,BMP2,Wnt3a,IGF,VEGFを供与濃度、添加時期を違えて添加しその硬組織誘導能並びに細胞増殖誘導能について解析した。結果として、MPDL22は、TGF-β並びにBMPsの受容体として、ALK1,ALK2,ALK3,ALK4,ALK5,ALK6,ALK7,TGF-β並びにBMPII型受容体を発現していること、さらにはTGF-βスーパーファミリー蛋白質のシグナル伝達蛋白であるSmads並びにSmurfsを恒常的に発現していることをRT-PCR法やWB法にて確認した。興味深いことにTGF-βI型受容体の細胞内ATP結合部位に対する拮抗阻害薬である膜透過性小分子化合物、SB431542はBMP2添加下のMPDL22の硬組織形成を著しく亢進した。これは歯根膜幹細胞は硬組織形成過程において自己或は微小環境構成細胞より分泌されるTGF-βにより負に制御されていること、その標的経路の一つが細胞内BMP2シグナル経路であることを示唆するものである。分子生物学的な解析の結果、SB431542がTGF-βシグナルを遮断することで、BMP2シグナルのネガティブフィードバック因子であるSmad6,7の発現を歯根膜幹細胞の石灰化後期過程において抑制することを見いだした。これらの知見は、細胞内刺激伝達系の制御に着目した新規の歯周組織再生に有益な分子標的薬開発の基盤情報となる重要なものである。
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Research Products
(2 results)