2010 Fiscal Year Annual Research Report
否定素子数が制限された論理回路の計算量に関する研究
Project/Area Number |
21700002
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
森住 大樹 島根大学, 総合理工学部, 助教 (50463782)
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Keywords | 計算量理論 / 回路計算量 / 否定数限定回路 / 反転計算量 / 論理回路 |
Research Abstract |
本研究では論理回路をチューリング機械に代表される計算機の数学的モデルの一種としてとらえ、P対NP問題を始めとする計算量理論の視点かりら研究を行った.論理回路における否定素子の働きを明らかにすることを目的として,否定素子数が制限された論理回路の研究がこれまで主に一般の回路を対象として行なわれているが,本研究では一般の回路以外の回路において否定素子数を制限した場合を考え,否定素子の働き,さらには回路計算量の解明を進めることを目的とした.本年度はまず、一般の回路が決定性の計算を行うのに対し,確率的計算を行う確率回路において,否定素子数を制限した場合を考え,ある問題を計算するのに最低限必要な否定素子の数(反転計算量と呼ばれる)が一般の回路と比較してわずかしか減少しないことを証朋した,この成果は、昨年度に証明した、非決定性の計算を行う非決定性回路では一般の回路に比べ反転計算量が著しく減少することと合わせて考えると,確率回路と非決定性回路の極めて異なる状況を示すものである.また,要求された計算を行うAND素子のみから構成される論理回路を最小化する問題について研究を行った.出力が複数の場合,否定素子や他の素子を含まずAND素子のみから構成される回路であっても,最小化することはNP困難な問題であることが知られている.この問題に対し,集合被覆問題に対するアルゴリズムを利用する手法により,既存のアルコリズムより近似度が優れた近似アルゴリズムを提案した.
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