2010 Fiscal Year Annual Research Report
縮約密度行列法による電子構造計算の新アルゴリズム提案
Project/Area Number |
21700008
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
福田 光浩 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (80334548)
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Keywords | 電子構造計算 / 縮約密度行列法 / 半正定値計画問題 / 1次法 / 最適化 / 大規模最適化問題 / 凸最適化問題 |
Research Abstract |
量子化学において最も基本的な問題の一つに原子や分子の電子構造を求める問題がある.縮約密度行列法ではこの計算を数理計画法の分野で良く知られている半正定値計画問題を解くことにより,近似的にその構造を求めるものである. 主双対内点法による半正定値計画問題の解法により,2008年に発表した論文ではスピン軌道数28を用いた分子の電子構造計算に成功したが,今年度はスピン軌道数36を用いた分子の計算が可能になった.これは半正定値計画問題を解くソフトウェアの改良と計算機クラスターの性能向上によるものと思われる.特にマルチコアプロセッサの性能を活用することにより高速化が可能になった.また,これ以上大きい問題の計算も時間をかければ可能であることがいえる. 半正定値計画問題を計算コストが非常に高い主双対内点法で解く代わりにYu.Nesterovらによって提案された1次法による解法の理論的な検証を行った.非常に簡略化された問題に対して実装を行った結果,問題の凸性を数値化した値の良い近似値が必要であるというデメリットと,反復回数が非常にかかることから問題が大規模にならなければ1次法の有効性が発揮されないことが分かった.また,反復回数がデータに依存しないで一定であることも分かった. 関連したHartree-Fock問題に関しては,最適化問題として定式化を行い,最適化手法により大域的最適値を近似的に求める方法の確立を急いでいる.既に簡略化されたデータでの実装に成功したが,引き続き実データを用いて数値計算を行う.
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