2009 Fiscal Year Annual Research Report
高級な通信・移動機能を備えた実用的アンビエント計算言語
Project/Area Number |
21700029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
馬谷 誠二 Kyoto University, 情報学研究科, 助教 (40378831)
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Keywords | プログラミング言語 / プロセス計算 / 分散システム / モバイル・エージェント / アンビエント計算 / Webアプリケーション開発 |
Research Abstract |
当初の研究計画に従い,高級アンビエント言語の設計と実装を行った.詳細な研究成果は以下のとおりである. 1. 言語設計 (1) ネットワーク構成の制約に縛られる事なく,柔軟に通信やコード移動を記述するための機能を設計した. (2) ネットワーク構成にとどまらず,XMLなどの文書構造の抽象化にもアンビエントを利用可能であるというアイデアに基づき,Webアプリケーション開発を行うための機能設計を行った.「HTTPサーバ,ブラウザ,DOMツリーのすべてがアンビエントである」という単純なモデルを採用する事で,非常に簡潔かつ分かりやすい設計となっている. 2. 実装 (1) 上記の機能を備えた,共有メモリ上で動作するプロトタイプ処理系の実装を行った.この処理系は,Webアプリケーションを動作させる場合のサーバ側処理系としても用いられる. (2) JavaScriptで書かれたアンビエント言語処理系の実装を行った.2-(1)の処理系が備える機能以外に,ブラウザ上でのUIに関する処理(HTMLの表示,イベント処理)も行う. (3) Safeアンビエントで記述されたプログラム(仕様)の安全性に関する研究は数多くなされている.そのため,我々の言語で書かれたプログラムを一旦,Safeアンビエントプログラムに変換してから実行すれば,安全性の保証が容易になると考えられる.そこで本年度は,既存のSafeアンビエント処理系の改良を行い,広域分散環境上においてもプログラムを正しく動作できるようにした. 今後は,本研究が提案する言語機能(特に1-(1)で提案している機能)を,2-(3)の処理系へのコンパイル方式により実現するための技術の開発を進めていく予定である.
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