2011 Fiscal Year Annual Research Report
高級な通信・移動機能を備えた実用的アンビエント計算言語
Project/Area Number |
21700029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
馬谷 誠二 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40378831)
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Keywords | プログラミング言語 / プロセス計算 / 分散システム / モバイルコード |
Research Abstract |
本年度は,前年度の成果物であるアンビエント計算に基づく低水準フレームワークを用い,主に以下の3つの研究を行った, 1.Scala言語用アンビエント計算フレームワークの設計・実装 前年度に開発したJava言語用アンビエント計算フレームワークは,各アンビエント内の処理をJavaで記述できるという特徴をそなえているが,一方で,コード移動の実装方法が可搬ではない点,およびアンビエントローカルな変数の実現に変換処理が必要なため利便性が良くない点が課題として残っていた.今年度は,それらの課題を解決するための方法の一つとして,Scala言語をベースにフレームワークの再構築を行った.その結果,可搬性,利便性にすぐれたより使いやすいフレームワークを実現できた. 2.アンビエント計算ベース分散プログラム開発Lisp環境の改良 前年度に開発したアンビエント計算の機能をLispから利用するためのフレームワークを用い,実装方式の改良を行った,主な改良点は次のとおり:(1)ノード間コード移動の実現方式を,継続渡し方式から二返戻値法によるスタック巻き戻し方式に変更することで,通常時の計算速度を改良した,(2)特定のパターンにしたがうアンビエントの生成を軽量化し,コード移動に伴う通信量や物理スレッド生成数の軽減を行った. 3。広域・モバイルネットワーク向け実装方式の実装 前年度に設計したアンビエント計算の諸機能を大規模分散環境やモバイル環境で実現するための実装方式を,上記2のLisp上の実装に適用し,その実現可能性・有効性を確認した.実装にあたっては設計レベルでは詳細化していなかった点(コード移動のタイミングの細かな制御など)を考慮し,間欠的なネットワーク遮断にも対応可能な動作を実現できている.
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