2010 Fiscal Year Annual Research Report
リスク優先型先見ドキュメントインスペクション手法の調査研究
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21700033
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
森崎 修司 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (50423249)
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Keywords | インスペクション / レビュー / 不具合修正コスト / インスペクション評価 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,協力企業からのデータ,資料にもとづきインスペクションのプロセスを検討した.検討したプロセスにもとづいて優先度を設定したインスペクションを実験的に試行した.実験はソフトウェア開発に携わる実務者36名に実施いただき,優先型ドキュメントインスペクションの効果を試行的に確認できた.具体的には,同一の架空のシステム設計書のドキュメントを3つのグループにインスペクションしていただいた.グループは(1)優先項目の設定なし,(2)インスペクション開始時点で優先項目を設定,(3)インスペクション開始時点に優先項目を設定し,欠陥指摘の度に確認,の3つである.グループ(3)においてもっとも潜在的リスクの高い欠陥が指摘でき,続いて(2)のグループにおいて潜在的リスクの高い欠陥が指摘できることがわかった.グループ(1)では,誤字脱字等の軽微な欠陥指摘が目立った.本試行により,本研究テーマで調査する手法が,軽微な欠陥指摘のかわりに潜在的リスクを小さくする欠陥の発見に寄与することを実験的に示すことができた. また,優先項目として不具合の修正工数の大きな欠陥種別を設定する方法を検討するため,商用開発において収集された不具合データベース(バグ管理表)に蓄積された不具合種別と修正工数を用いて,傾向分析を実施した.その結果,ドキュメントインスペクションで検出しておくことにより,大きくリスク低減に貢献する不具合種別をいくつか特定した.今後は,それら種別を実際にドキュメントインスペクションにおいて重点検出欠陥として設定し,どの程度のリスク低減効果があるのかを調査する.
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Research Products
(8 results)