2010 Fiscal Year Annual Research Report
プロダクトラインアプローチによる異常処理系の再利用性向上に関する研究
Project/Area Number |
21700035
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 恒夫 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 准教授 (70311785)
|
Keywords | プロダクトライン / ディペンダビリティ / 再利用 / 異常処理 |
Research Abstract |
本年度計画に挙げていた1)既存の異常処理分析,設計,実装に関する方法論あるいは方式のプロダクトライン拡張;2)異常処理系に関する製品間相違性の表現;3)異常処理系に関するトレーサビリティ実現手法を検討すべく,まず具体例の準備を進めた。実際の製品で使用されているコードを入手するのは困難であるため,文献として公開されている既存のプロダクトラインを検討し,題材としてモバイルアドホックネットワーク(MANET : Mobile Ad Hoc Network)のルーティングプロトコルを選択した。MANETのプロトコルは過去10数年の間に数多くのプロトコルが提案され,それらのプロトコルの多くがDSR,AODVなどいくつかの基礎的なプロトコルの改良となっており,多くの共通部と細かな可変部を持つ,ひとつのプロダクトラインとして見立てることができるためである。 本研究では,既存のMANETプロトコルを収集し,MANETを構成する諸要素の構造と振舞いをUMLの諸図面でモデリングすると同時に,MANETプロトコル間の共通部と相違部のフィーチャモデリングを実施した。しかしながら,既存のMANETプロトコルの理解に相当の時間を費やし,正常処理系のモデリングが完了したのみであり,異常系のモデリングについては発表に足るほどの成果を得られていない。平成23年度は,異常処理系のモデリングを進め,前述の1)~3)の研究課題に継続して取り組む。 また,本年度はソフトウェアの出荷後の更新を可能にする差分更新方式についても調査,研究を行った。機能追加を行った場合,既存機能との干渉(フィーチャインタラクション)を回避すべく,出荷済のソフトウェアを変更する必要がしばしば生じるが,異常処理系ではこの問題が特に生じやすい。出荷済ソフトウェアの異常処理系の更新を容易にすべく差分更新手法を開発した。
|