2011 Fiscal Year Annual Research Report
実時間ソフトウェアの最適パラメータ探索および組込みソフトウェア再利用への応用
Project/Area Number |
21700039
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
中田 明夫 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (60295839)
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Keywords | 組込みシステム / マルチタスクソフトウェア / 性能検証 / リソース制約 / 実時間制約 / タイムバジェット / ソフトウェア再利用 / 実行時間解析 |
Research Abstract |
まず,前年度までに考案した実時間マルチタスクソフトウェア動作仕様(以下,複数タスク動作仕様と呼ぶ)の性能検証手法をツールに実装し,飛行船自動航行ソフトウェアの事例に適用しその有用性を評価した.当該ソフトウェアの振る舞い仕様を記述したUMLシーケンス図およびリソース(プロセッサ,バス,共有変数など)の情報から複数タスク動作仕様に変換し,システム全体のスループット性能の見積もりを性能検証により導出し,性能の実測値との比較を行った.その結果,実測値と見積もり値の相対誤差は3%未満という結果が得られた.従って本研究の性能検証手法により有用な性能見積もりを得ることができる.次に,当該ツールを用い,スループットおよびレイテンシ性能を維持しながら各タスクのタイムバジェットを可能な限り緩和する自動最適化手法を考案した.この手法では,同じリソースを共有するタスク群のタイムバジェットを一定割合だけ緩和した複数タスク動作仕様を導出し,それらの性能検証を行い,性能要求を満たした仕様に対して同様の操作を繰り返すことにより自動最適化を行う.この手法により,同じ性能をより低性能のリソースで実現するシステムの最適化を支援することができる.最後に,一般に再帰呼び出しを含むプログラムが与えられた実時間制約を満たすための,各ループの繰り返し回数とプロセッサの個々の命令語の実行時間(一般に動作周波数の関数)が満たすべき条件を自動導出する手法を考案した.プログラムの実行時間は個々の処理の実行回数にのみ依存し,実行順序に依存しないという性質に着目し,一般化Parikhの定理を用いることにより,一般に再帰を含むプログラムを扱うことが可能となった.得られた条件式に数理計画法を適用することにより,最適なループ回数パラメータと実行環境パラメータ(CPU動作周波数など)の組合せを求めることが容易となる.この手法により,実時間ソフトウェア部品の異なる実行環境への再利用を容易化することができる.
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