Research Abstract |
OSS (open source software,以下OSSと略す)は,世界中の誰もが開発に参加でき,ソースコードが公開され,誰でも自由に改変可能なソフトウェアであることから,急激に普及が広まっている.また,最近では,組込み機器に対してもAndroidやBusyBoxに代表される組込みOSSが積極的に採用されつつある.特に,OSSを利用した組込みシステム開発では,自社で開発されたハードウェア上でOSSが動作するよう修正・再構築する作業である移植工程での品質評価が問題となっている.現在では,こうした移植可能性の問題から,OSSの導入へ踏み切れない企業が多く存在している. 本研究課題では,オープンソースプロジェクトの下で開発されている組込みOSSの信頼性を評価することを目的として,主要コンポーネントと,それに影響を及ぼすコンポーネントとの相互作用を包括するために,OSSを構成するコンポーネント間の因果関係を条件付確率で表現することにより,ベイジアンネットワークとソフトウェア信頼度成長モデルに基づく信頼性評価法を提案した. さらに,オープンソースプロジェクトの下で開発されているOSSを利用した組込みシステムの移植工程における信頼性を評価するために,組込みOSSと,それに影響を及ぼすコンポーネントを考慮したハザードレートモデルに基づく信頼性評価法を提案した.また,実際のソフトウェア故障発生時間間隔データに対する数値例を示すことにより,組込みOSSに対する移植性評価法の適用可能性について考察した.上述した信頼性・移植性評価法の応用として,数理モデルや確率論に関する知識が無くとも容易に適用できるように,OSS移殖工程に対する信頼性・移植性評価ツールとしてJava言語を用いて開発した.
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