Research Abstract |
ネットワーク環境を利用して開発されるオープンソースソフトウェア(Open Source Software,以下OSSと略す)は,世界中の誰もが開発に参加でき,ソースコードが公開され,誰でも自由に改変可能なソフトウェアであることから,組込みシステムやサーバ用途として広く採用され,急速に普及しつつある.また,オープン規格やOSSを利用することによって,電子行政機関がプライバシーや個人の自由を保護するとともに,市民が電子政府と情報をやり取りできるようにするのに役立つことから,EU加盟国を中心に欧米においても政府関係機関がOSSを支持する動きが広がっている.しかしながら,OSSを利用した組込みシステム開発では,自社で開発されたハードウェア上でOSSが動作するよう修正・再構築する作業である移植工程での品質評価が問題となっている. 本研究課題では,オープンソースプロジェクトの下で開発されている組込みOSSと主要コンポーネント間の相互作用を考慮した信頼性評価法を提案した.特に,ある程度目安となるような適切な移植作業期間を推定することは,リリース後の信頼性維持や進捗度管理に役立つと考えられる.本研究課題では,移植作業工程における最適リリース問題として総期待ソフトウェアコストを定式化することにより,最適な移植作業期間を決定するための最適リリース時刻の推定法を提案した. さらに,組込みソフトウェアの開発管理者がOSS移植工程における進捗状況を把握し易いように,信頼性・移植性評価結果だけではなく,組込みソフトウェア全体のソフトウェア信頼度を同時に考慮した場合における最適リリース時刻を推定する機能をもつ信頼性・移植性評価ツールを開発した.
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