2009 Fiscal Year Annual Research Report
統計的トラッフィク解析モデルの開発と情報セキュリティへの応用
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21700060
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡村 寛之 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 准教授 (10311812)
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Keywords | 隠れマルコフモデル / マルコフ型到着過程 / トラッフィクモデル / EMアルゴリズム / 一般化EMアルゴリズム / 変分近似 / 並列計算 / マルチコアCPU |
Research Abstract |
平成21年度は主として,HMM (Hidden Markov Model,隠れマルコフモデル),MAP (Markovian Arrival Process,マルコフ型到着過程)を中心としたトラッフィクモデルの構築およびその推定手法の再検証を行った.具体的には以下の2件に関しての成果を得た. (1) HMMの用いたMAP表現と高速な推定手法の確立 HMMのシンボル出力を位相型分布としたトラッフィクモデルを構築し,従来のMAPによるトラッフィクモデリングとの対応および表現能力の検証を行った.HMMの出力分布に最も単純な位相型分布であるアーラン分布を適用することで,一般的なMAPとほぼ同程度の表現能力を持ち,且つ,大量のトラッフィクデータから高速にパラメータを推定するアルゴリズムを構成できるモデルの構築に成功した. (2) 一般化EM (Expectation-Maximization)アルゴリズムによる推定処理の並列化 従来では,HMMおよびMAPのパラメータ推定にはEMアルゴリズムが用いられてきたが,大量のトラッフィクデータを扱うことを考慮して,これを一般化EMアルゴリズムの枠組みで再構成した.ここでの一般化EMアルゴリズムは変分近似で用いられている変分原理を利用して中間的な状態を表現する手法となっている.総合的な計算量は従来のEMアルゴリズムよりも増加するが,共有メモリ型の並列計算の適用が容易な構造をもつ.実際に,マルチコアのCPUを実装したワークステーションを用いて,一般化EMアルゴリズムを並列実装したところ,従来の逐次型のEMアルゴリズムと比べて計算時間(実測値)を大幅に減少させることができた.
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Research Products
(4 results)