2010 Fiscal Year Annual Research Report
統計的トラッフィク解析モデルの開発と情報セキュリティへの応用
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21700060
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡村 寛之 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10311812)
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Keywords | 隠れマルコフモデル / マルコフ型到着過程 / トラッフィクモデル / EMアルゴリズム / 一般化EMアルゴリズム / 変分近似 / 並列計算 / マルチコアCPU |
Research Abstract |
平成22年度はHMM (Hidden Markov Model)の学習アルゴリズムの精緻化と統計的異常検知アルゴリズムへの応用を行った.平成21年度の成果の一つとして,一般化EM(Expectation-Maximization)アルゴリズムによるHMMの学習アルゴリズムの再記述と,効率的な学習アルゴリズムの並列化がある.この成果をさらに応用面に関して発展させ,CHMM (Continuous HMM)の枠組みにおける一般化EMアルゴリズムの構成,および通常のHMMよりも多状態を表現できる階層化HMM(Hierarchical HMM)に対する一般化EMアルゴリズムを構成した.さらに,学習の精度向上のための工夫として,観測系列をそれぞれ独立に扱うアルゴリズム以外にも,ある程度の系列長をまとめて扱うアルゴリズムを構築した.また,CHMMの応用として,トラッフィク監視データから統計的な異常検知を行うための基礎を成す学習アルゴリズムの構築を行った.具体的には,トラッフィクモデルとしてよく利用されているマルコフ型到着過程と呼ばれる確率過程をCHMMで構成し,構築した並列化手法による実データからのパラメータ推定(学習)を行った.結果として,従来の最尤法による学習と比較して,ほぼ同じ学習効果を保つこと,効率的な並列化による計算時間の短縮(プロセッサ数8に対して8分の1の時間短縮)が実現できることを確認した.また,変分近似によるベイズ学習のアルゴリズム構築にも着手し,理論的なアルゴリズムの構成に成功した.
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