2009 Fiscal Year Annual Research Report
IPトポロジの特徴を高速に検出可能なネットワーク計測手法に関する研究
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21700070
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
益井 賢次 Tokyo Institute of Technology, 学術国際情報センター, 特任助教 (60531340)
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Keywords | インターネット / ネットワーク計測 / ネットワークトポロジ / 分散システム |
Research Abstract |
平成21年度の主な研究実績は、以下の2点である。1点目はインターネットにおけるIPネットワークトポロジの分散計測環境の整備、2点目は検出次数に焦点を当てた簡易なトポロジ特徴抽出手法の提案と性能評価である。前者の業績の具体的な内容には、DTS (Decentralized Tracing System)と呼ばれる分散計測環境の実装・構築が挙げられる。DTSは大規模インターネットテストベッドであるPlanetLab上に構築され、実験シナリオに応じて柔軟にIPトポロジのprobeを行うことができるシステムである。本システムは以後の計測手法の検証に用いることのできる実験基盤として重要な役割を果たすとともに、インターネットにおいて数十から数百ノードの規模で分散計測システムが動作した実績としても意義深い。後者のテーマでは、アプリケーションのネットワーク利用の最適化を目的として、ノードに割り当てられた数値情報(probeの検出回数に相当する「検出次数」)のみでインターネットトポロジの特徴を検出する手法を検討している。この手法は、インターネットトポロジをグラフの接続情報として扱う従来の方法に比べ、計測情報の処理にかかる計算量が大きく低減される。これにより、アプリケーションに高速かつ簡便にインターネット上でパケット転送の集約点となるノードを発見させ、アプリケーションネットワーク上での通信迂回路を迅速に設定させることで、規模拡張性と耐障害性の高いアプリケーションをインターネット上で動作させることへの重要な支援ができると期待される。現在、実ネットワーク環境で提案手法を動作させ、検出次数によるノード特徴の推定の正確性などについて評価を続けている段階である。
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