2009 Fiscal Year Annual Research Report
無線ネットワークシミュレーションを対象としたユーザモビリティモデルに関する研究
Project/Area Number |
21700076
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣森 聡仁 Osaka University, 大学院・情報科学研究科, 助教 (90506544)
|
Keywords | ネットワーク性能評価手法 / ネットワークシミュレーション / 無線ネットワーク / アドホックネットワーク / モビリティ / 大規模シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、無線ネットワークにおけるモビリティの影響を適切に評価できるよう、ユーザ密度分布や滞留時間分布など、個々のユーザ移動から生じ、ユーザ全体もしくはユーザの一部を対象として観測できるような移動特性に着目し、それらを任意の状態に誘導するモビリティモデルの確立を目指す。今年度は、任意の密度分布を実現し、かつその密度分布を維持し続ける方法を提案する。この手法では、各ユーザが目的地の選択とそこへの移動を繰り返すようなモビリティモデルにおいて、指定された密度分布を実現する。各ユーザは目的地をほぼ公平に選択することで、なるべくランダムな移動を行うようにし、モビリティについて一定の公平性を維持する。さらに、地点間のユーザ数を全体で調整することで指定された密度分布を実現する。この地点間で移動するユーザ数を決定する問題を非線形計画問題として帰着し、さらに、線形計画問題への近似を行うことで目的のモビリティモデルを導出するよう工夫している。この手法を利用することで、ネットワークシミュレーション上で様々な密度分布を実現することが可能となり、ユーザの配置により大きく性能が変化するアドホックルーティングプロトコルの性能を網羅的に評価できる。さらに、これらの結果を基に,状況毎で適切なルーティングプロトコルを利用することで、現実的なアドホックネットワーク通信が実現できることが期待される。また、モビリティモデルだけでなく、シミュレーションの高速化手法についても提案を行った。提案手法では、各ユーザのトラフィックを確率分布としてモデル化し、その確率分布に基づきパケット送信タイミング、パケット受信成否を判断することで,MAC層に関わるシミュレーション処理負荷を1/10に削減する。このように、ネットワークシミュレーションの高速化の面からも、モビリティの影響を網羅的に評価できる環境の構築に貢献した。
|