2009 Fiscal Year Annual Research Report
大規模・複雑なネットワークの特徴を考慮したトラヒックエンジニアリングに関する研究
Project/Area Number |
21700082
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
田村 瞳 Kyushu Institute of Technology, ネットワークデザイン研究センター, 助教 (30423601)
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Keywords | 情報通信工学 / ネットワーク / ベキ乗則 / トラヒック制御 |
Research Abstract |
大規模に発展したインターネットの物理的なトポロジ構造において,その次数(ノードが有するリンク数)がベキ乗則に従うと言われている.次数分布がベキ乗則に従うスケールフリーネットワークは,少数の高次数ノードと大多数の低次数ノードから構成されており,少数の高次数ノードがネットワーク全体の機能維持に貢献するが,従来からインターネットではトラヒックの転送経路として,ホップ数やリンク帯域を用いたコストが最小となる経路を利用する.よって,高次数ノードにトラヒックが集中し輻輳状態となって通信品質が低下することが懸念される.本研究では,通信経路を効率的に設定・利用することでトラヒック負荷を分散するトラヒックエンジニアリング(TE)について,物理トポロジの特性を考慮した手法の提案と評価を行う.そのために,H21年度は,物理トポロジの特徴とネットワーク内部における輻輳発生箇所との関係調査を行った.スケールフリーネットワーク,特に,BA (Barabasi-Albert)モデルにおいて,現行のインターネットにおいて一般的なOSPF (Open Shortest Path First)経路制御プロトコルを適用した場合,高次数ノードにおける一部のリンクにトラヒック負荷が集中しやすいことが示された.また,任意の送受信ノード間における転送経路数やそれぞれの経路上にあるノード数,そのノード次数を調査した結果,スケールフリーネットワークでは,任意の送受信間における経由ノード数が最小となる経路が複数存在しており,それらの経路が経由するノード次数も大小様々であることがわかった.以上の結果より,経路上のノード次数を考慮した経路選択(TE)による負荷分散の可能性が示唆された.
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